雛人形売り出し中!
人形店もさまざまです。
お雛さまをベビー用品として扱っているお店と、節句飾りとしてのお店ではまったく違います。
当店はお節句(雛まつり)のためのお雛さまの専門店です。
当たり前のようですが、当たり前でなくなってきています。
どこが違うのか、お気軽にご覧ください。
お雛道具と掛盤膳揃 ~その三~
貝桶と行器
貝桶と小さな貝合せの貝(専門店でないと、まず扱われません)
よく混同されるものに「貝桶(かいおけ)」と「行器(ほかい)」があります。まったく用途が違うのに、形が似ているため間違われます。また、両方に「かい」がつくこともその原因になっています。
まず、貝桶の基本形は八角形なのに対して、行器は丸型です。さらに、貝桶は下に台がついているのに対し、行器にはなく三本ないし四本足になっています。
貝桶の用途は「貝合わせ」をいれるためのものです。三百~五百といわれるたくさんの貝合わせを容れるため、たいへんな重さになるので底が抜けないよう台をつけて丈夫になっているのです。基本形は八角形ですが、雛道具では六角形のものが多くなっています。美しい組み紐が掛けられ、貝桶結びという独特の結び方で結わえられます(専門家でないと結べません)。
一方の行器は、いろいろな道具類や衣装、さらにはお酒や食物も入れたりします。三~四本の足で底が浮かせてあり、湿気を防ぐようになっています。この行器にも紐が掛けられ、行楽など外出の時に長い棒の両端に、二つの行器をかけて運ぶ絵も残されています。「ほかい」の言葉は、外出の時に用いるため「外居(ほかい)」からきているとか、「行楽のときの器」で行器の字が当てられたとか言われていますが、実はよく分かっていません。
貝桶はかつては最も重要な嫁入り道具とされ、大名家の嫁入りには貝桶奉行が行列の先頭となり、真っ先に貝桶を嫁ぎ先に運び入れます。町民が所持することはほとんどありませんでしたので、骨董(こっとう)の世界でも滅多にお目にかかれません。
一方の行器は、骨董品店で見かけることがあります。
お雛さまにはどちらもよく飾られますが、その用途を知っているとちょっと楽しくなります。
八角形の貝桶(本漆塗り、本金蒔絵)
行器(専門店ではこうしたお道具も単品で求められます)
節句文化研究会では、こうした 面倒臭いけどなんだか楽しい節句のお話を出前しています。カルチャースクール、各種団体、学校などお気軽にお問合せください。→HP最後のお問い合わせメールからどうぞ
これまで、いくつかの和文化カルチャースクール様、ロータリークラブ様、徳川美術館様、業界団体様、中学の授業などでお話させていただいています。
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